2LDK 買って後悔する?

駅近がいい!都心近くに住みたい!築年数の浅い物件がいい!
立地や建物のグレードは、毎日の生活の質に直結する重要な要素です。
でも、予算には上限がありますよね。

となると、広さを妥協するという考えになると思います。

これから家族が増えるし、荷物も増えそう・・・

本当に広さを妥協していいの?

広さを妥協しても、快適に生活していけるのでしょうか?後悔しないでしょうか?
不動産業界で、様々な広さの部屋を見ている私なりの感想をお伝えします。

本記事では、立地条件=通勤利便性・生活利便性の条件としています。「立地条件が良い」とは、駅距離が短く、通勤や買い物が便利であることを意味しています。本来、立地条件は、自然環境・騒音などの住環境、道路アクセス性、学区なども含んで表現することもあります。今回はその意味を含んでいません。

どんな人が2LDKを購入するのか

都心部を中心にコンパクトな2LDKは多い

2LDKを購入する人は一定数いる

新築マンションを購入する人の約15%が2LDKを選択しています。ちなみに3LDKを購入するのは約60%です。

この数字は首都圏全体での割合です。新築マンションでは、都心やターミナル駅に近いほど2LDKの部屋の割合が増えます。中古マンションでも、好立地のエリアで2LDKの流通戸数が増えます。立地が良いエリアでは、平米当たりの価格も高くなり、物件価格も高くなります。必然的にコンパクトな間取りを選ぶ人が増えていきます。逆に、広さ需要が強い郊外物件の場合は、2LDKプランを用意しない場合も多いです。そもそも2LDKを選ぶことができないこともあります。

将来が決まっていないから2LDKを購入

2LDKを選択するのは、DINKS(子供を持たない共働き夫婦)や子育て引退世代が多いです

立地に特化した物件では、セカンドハウスや投資用物件として購入する人もいます。これらの層の人々は、年々増加傾向にあります。同時に「家を買うのは人生で1回」という常識も変わりつつあります。結婚したり、子供が生まれたり、転職があったり、介護が必要になったり。人生何があるか分かりません。様々な可能性に応えられる、流動性の高い物件が求められています。彼らは、立地への強いニーズがあり、駅近のコンパクト物件の需要を支えています。

私自身、2LDKを購入しました。結婚の数か月後、子供も考えているタイミングでした。当時は首都圏在住でしたが、いつ地元である東北に戻るか分かりませんでした。子どもをどんな環境で育てたいか、どんな教育環境に置いておきたいかも定まっていません。マンションがいいのか、戸建てがいいのかも最終的な答えは出ていません。ですので、将来、価値観が変わったときにすぐに動ける物件を購入しました

実際に2LDKに住んでみて

子供が小さいうちは、不満なし

結論、子どもが自室を欲しがるまでなら、2LDKでなんとでもなります。

私は、いろいろな広さのマンションを見てきました。実際のところ平米数が大きくなっても、広さの感覚はそんなに変わりません。例えば65㎡3LDKの場合はLDKが14畳ほど、個室が4.5~6畳×3部屋。55㎡2LDKはLDKが同じく14畳ほど、個室が4.5~6畳×2部屋のパターンが多いです。部屋数が違うだけで各部屋の大きさはほぼ同じ。ドアを閉めて部屋で過ごしていると、広さは同じなのです。つまり、部屋数が足りていれば2LDKでも3LDKでも一緒ということになります。

ただ、1部屋減るので収納が減り、荷物の置き場が少なくなるケースはあります。また、水回りがコンパクトになるので、使い勝手にやや劣ることも。荷物が多い、水回りを使う機会が多い家庭は狭さを感じる部分も出てくると思います。

2人暮らしで寝室が1つなのであれば、不満を感じることはほとんど無いかと思います。注意が必要なのは、3LDK以上のマンションや戸建てからの住み替えの方です。今までの生活とのギャップがあるので、狭さを感じることが多くなると思います。今の家の中で2LDKを再現して、荷物が入りきるか、家具が配置できるかシミュレーションしてみてもいいかもしれません。

子どもの成長に柔軟に対応できる2LDK

お子さんがまだ小さくて、かつ、売却・住み替えを前提に考えられる家庭ならば2LDKで問題ないでしょう。

家族の状況によって必要な広さは大きく変わる

中学校入学の頃に売ってしまえ

多くのご家庭の場合、部屋数が必要になるのは、子どもが中学生に上がる頃でしょう。子どもが生まれたばかりという家庭の場合だと約10年後にその時期がやってきます。お子さんが中学校に入るまでの期間を2LDKで過ごして、ある程度お子さんの将来が見えた段階で住み替えれば、教育環境も整えてあげられます。

このくらいの期間であれば、売却するにしても大幅な値下がりのリスクが小さいです。そのため、ある程度の見通しを持って資産形成をすることができます。お子さんが中学校に入るまでの期間を2LDKで過ごして、ある程度将来が見えた段階で住み替えるのもありです。

3LDKを売却できなくて困っている人も

広さがメリットの3LDKですが、広さを優先しばかりに困ることもあります。よくあるのが、子供が独立した後に広さが不要になったり、年を重ねて立地が不便になったりして売却するパターンです。

しかし、売却がうまくいかないこともあります。お子さんが小さいうちに購入すると、20~30年住むことになります。それだけ時間が過ぎると、不動産市場も大きく変わり、価値の予測は難しくなります。築年数が古くなるので、売却しようにも買い手が見つからないケースも。結局リフォームをしながら騙し騙し住む選択をする人も多いのが現実です。

いい立地で3LDKが買えて、ライフスタイルに合わせて住替えできるなら問題ありません。ですが、予算には限りがあります。「広くて立地もいい物件」はなかなか手が出ない訳です。広さを妥協して2LDKにすると部屋が足りなくなる将来不安が出てきます。立地を妥協して3LDKにすると身動きが取れなくなる不安が出てきます。

ですので「部屋数が足りなくなったら、売却して住み替えすればいい」「子供の成長に合わせて、住む場所を変えていきたい」と思えるのであれば、売却に有利な2LDKの選択もありではないでしょうか?

売却するなら広さよりも立地が大事

立地のいい物件は買い手が多い

一般的にコンパクトな物件は売却のハードルが下がり、住替えがしやすいと言われます。

広さよりも立地の方が資産価値に与える影響が大きいからです。例えば予算が5000万だったとして、同じ価格で、同じ築年数・グレードの物件を購入した場合、郊外75㎡よりも駅近55㎡の方が、資産価値は保ちやすいです。駅近と呼ばれるのは、ごく限られたエリアです。希少性があるうえに、多くのターゲットを狙えます。それが、価値の安定に繋がるのです。

3LDKが買い手も多いが、売り手も多い

郊外のマンションは広さを取れるが、売却に難あり

「3LDKの方がファミリーに人気だから売りやすい」という理論も間違ってはいませんが、売る人も多く、競合も多くなります。数が多くなれば、相場も形成されやすく、たまたま高く売れると言うことも少ないです。

家を買うのはファミリーだけではありません。DINKSや独身世帯、リタイア後のシニア層なども家を探しています。需要のほとんどは駅近くに集中します。駅近くという限られたエリアで、多くの層が家を探しているわけです。投資目的や長く住むつもりのない方も多くいるので、築年数が経っても需要は見込めます。対して、郊外で探しているファミリー層は長く住むのが前提にあるため、築20年以上の中古物件となると、なかなか買い手がつかないこともあります。

2LDKを選ばない方がいい人

1. 数年で2部屋では足りなくなる

子供が2人以上で小学生以上の場合、子供が1人でも夫婦別室の場合などです。部屋数が足りていれば2LDKでも、なんら問題ないです。しかし、部屋がなければ、物理的に生活できません。

購入の際の初期費用は、ローン利用ありで150万~250万、ローン利用なしで100万円程度はかかってきます。さすがに数年で購入売却をすると、手数料の負担が重くなります。

また、短期売却で利益が出た場合は、譲渡所得税が相当かかります(約5年以内の場合、利益の約40%)。利益が出るなら仕方ないとも思えますが、もったいない感じもします。

2. 立地条件が悪い

私が2LDKに肯定的なのは、あくまでも広さを優先して立地を妥協するなら、広さを妥協しても立地を優先した方がいいと言うことです。

売却しやすいから2LDKを選ぶ価値がある訳です。共働き夫婦や高齢者など2LDKを必要とする人たちが欲しがらない立地で2LDKを買うメリットは小さいです。

3. 住替えができない可能性が高い

持ち家の住み替えは、賃貸ほど簡単ではありません。

貯金がたんまりある家庭でなければ、自宅を売却をして、新たにローンを組む必要があります。そのため、住替え時にローン審査に通る年齢で、安定した収入が必要になります

転職や退職で世帯年収が下がる可能性が高い場合や年齢が高い場合は、物理的に住替えできないことがあります。

ということで「狭くなったら住み替えればいい」と気軽に思えない家庭では、3LDK以上を選んだほうが無難です。

何のために買うのかを考えよう

家を買ったせいで身動きが取れなくなって、家族や自分のやりたいことができなくなるのは本末転倒だと思います。

長い人生の中で価値観が変わっていくのは当然のことです。住む場所や空間を変えていくことで、ライフスタイルに合わせていければ理想です。広さを妥協するのか、資金を出すのか、身を削る部分はでてくるでしょう。

自分たちの老後が多少不便になるとしても、子どものために広い家を用意してあげたいなら、郊外で広い物件を買うべきです。多少狭さを我慢させてでも、子どもの成長に合わせて住む場所を変えていきたいなら売却しやすい物件を買うべきです。

自分や家族が何を優先させたいのかじっくり考えて、一番答えに近い条件が見つかるといいですね。

タイトルとURLをコピーしました